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160脚の椅子が紡ぐ、時を超えた物語。「ハンス・ウェグナー展」で触れた、記憶のある未来。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

圧巻の160脚。椅子から読み解く、一人の人生とデザインの真髄

先日、渋谷ヒカリエで開催中の
「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」へ足を運びました。

会場に入った瞬間に広がるのは、
160脚を超える椅子の群れ。これほどの規模を一度に目にできる機会は、国内でもかつてないことだそうです。

今回の展示で特に楽しみにしていたのは、会場構成を担当された建築家の田根剛さんと、ウェグナーの椅子を愛用されている野村友里さんのトークショー。 お二人の言葉を通して展示を巡ることで、単なる「家具の展示」以上の、深い気づきをいただくことができました。

 

四つのチャプターで辿る、創造のプロセス

展示は4部構成になっており、照明や空間のデザインが全く異なる設えになっています。

Chapter 1 & 2:はじまりと探求
ウェグナーが17歳の時に手がけた「ファーストチェア」から始まり、年齢を追って並ぶ展示。
織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

見習い時代にこれほどのクオリティを生み出していたことに、まずは驚かされます。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

1/5スケールモデルの展示からは
彼がどれほど緻密に試行錯誤を繰り返していたかという「制作のプロセス」が見えてきました。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

Chapter 3:360度の視点と、200倍の図面 天井高7mの空間に広がる、椅子たちの競演。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

壁面には200倍に拡大された図面が掲げられ、まるで自分が図面の中に入り込み、美術館というより建築そのものを体感しているような不思議な感覚に。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

Chapter 4:光と影の晩餐会
織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

最後は一転、真っ暗な空間にスポットライトが当てられた「晩餐会」のような空間。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

ヴィンテージの作品群を通り抜け、
最後を飾る「ザ・チェア JH503」の凛とした立ち姿には、ただただ圧倒されました。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

 

 

「記憶のある未来」を生きるということ

75年以上前のデザインが今も色褪せず、私たちの心を整えてくれるのは、ウェグナーが木という素材の寿命を信じ、無駄のない「美しさと構造」を追求し続けたから。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

でも、会場を出た後に実際に椅子に座り、自分の身体がゆっくりと解きほぐされていくのを感じたとき、「良いデザインは、人を緊張させない。人を安心させる構造が、結果として美しさになるのだ」と、一つの答えをもらった気がします。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ 織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

 

デザインの先にある、暮らしの豊かさを届けるために

私が手がけるデザインやフラワーアレンジメントも、受け取った方の日常に自然と馴染み、年月を経ても愛されるものでありたい。
ウェグナーが椅子に込めた「至高のクラフツマンシップ」は、そのまま私が目指したい仕事の姿勢でもありました。
織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

トークショーを終えて
ウェグナーの椅子を愛用されている野村友里さんが準備された一杯の白ワイン。

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

この余韻を大切にしながら、また明日から、誰かの日常を彩るお手伝いをしていきたいと思います。

 

 

写真撮影について

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ライブ配信:禁止
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ショップ

あり

開催情報

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

U R L:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/25_wegner/
会 期:2025年12月2日(火)ー2026年1月18日(日)
休館日:2026年1月1日(木・祝)
住 所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)

最寄駅:
JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」A2出口より徒歩5分
入館料:2,300円

 

 


 

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